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アラサー異常独身男性

【婚活#1】俺だけマッチングアプリ女性と会えない

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5月末の日曜日。朝10時に集合予定である某ターミナル駅に向かっていた。

今日はマッチングアプリの女性と初めて対面で会うことになっていた。
名鉄電車に揺られながらPai●sの画面を見る。運営からは数日前にアプリ内で詐欺被害が多発しているとの注意喚起が送られていた。心臓が痛い。

大学卒業以降、無趣味の俺にとって職場以外で出会った女性のほとんどは詐欺が営業のどちらかだった。
要は利害関係のある女性としか関わらなかった。周囲に「いい人」として紹介される容姿も人間性も無く、1人で変態快楽を貪る趣味しか持てなかったから趣味の友人も居ない。

結果として、ぼったくりに怯えながらカフェに向かう女々しい三十路の男がここにいる。


正直、恋愛に発展させる気持ちよりもどんなイベントが発生(お)きてしまうのかという不安と遊び心の方が大きかった。
また、表面上は真摯に相手とやりとりを交わすように努めても、相手への猜疑心とマッチング活動をどこかで冷笑している自分を捨てきれなかった。
こんなふざけた人間への罰なのか、結果的にはカフェの予定はまともに実現しなかった。

 

集合場所のターミナル駅に着く手前、アプリの通知が入る。
女性からの連絡だった。
「乗っていた電車が急に止まってしまいました。もしかすると集合時間に遅れるかもしれません。また状況が変わったら連絡します!」

スマホで鉄道状況を確認してみると、確かに事故で運休している路線があった。
つい数分前に事故が起きたようだ。女性からの連絡時間を見るに、サイトで情報を見てドタキャンのために言い訳にしたとは考えにくく、おそらく事実だろうと判断した。

こちらのことは気にせずゆっくり来て下さいね! もし長期間止まった場合はまた連絡ください。
長くなるかもしれないので、体調にはお気をつけて下さいね。私もまだ電車に乗ってるので、情報チェックします
大変なことになっていますね。。いやいや、XXXXさんは何も悪くないので気にしないで!

真顔でメッセージを打った後、もうすぐ駅に到着することに気づく。
改札口の近くにある喫茶店に入り、ひたすらアプリを見る。

彼女からのメッセージはない。
集合時間から1時間後、電車が動き始めたとの連絡を受ける。
こんなことがあった日なので、彼女にはカフェを別日にリスケするか相談したが
色々あって夕方18時に会うことにした。

カフェの時間が夕方にずれ込んだ理由は、午後に彼女の友人と予定があったからです。

彼女の言う友人は本当に友人なのか。数多いる独身イケメンアプリ利用男性と逢瀬をするのか。単に俺と会うのが面倒だからキャンセルするための口実にしているのではないか。猜疑心が延々と膨らみ続ける。

昼過ぎに駅近くの中華料理店で「なんでこんなに流れが悪いんだ・・・」と思っていると、またアプリの通知が。

「18時からのカフェはキャンセルで、別日にさせてください。」

 

・・・。

女性とは紳士的(に見える)やりとりをして、その日は帰宅した。
以降は彼女とメッセージはやり取りしていない。
暫くはアプリ女子(おなご)と関わる気が無くなってしまった。婚活を薦めてくれた友人には悪いけど。

最近は高級風俗店女性が書いた客へのメッセージを読み返して心を温めている。客とサービス提供者というビジネスの関係だけれど、それはアプリ女性のメッセージより何倍も心にぐっとくるから(完)