140字では書けない

アラサー異常独身男性

女遊び卒業(1)

「飲む 打つ 買う」は男の道楽の代表と言われている。
「打つ」はギャンブルで、「買う」は女遊びである。
ギャンブルが食わず嫌いで下戸の私は、社会人になってからグルメと風俗に休日の時間と給与の殆どを注ぎ込んでいた。

風俗といっても、病気を怖がる私は主にエステ系の店を探索していた。
ペースとしては月2~3回。ほぼ毎週末は都市圏に赴き、施術をしてもらう。

学生時代にまともなバイトをせず、口座に20万以上があることに慣れていなかった私は
マネーリテラシーの無さも相まって「食べる」「買う」の浪費癖がついてしまった。
グルメはまだかわいい。問題は風俗である。
入社して半年経つのに、貯金額が入社2ヶ月目くらいから変わっていない。
同期に貯金額を話したらドン引きされた。会社では攻撃性・スケベ性・犯罪者傾向をあまりにもシャットアウトしているので、ギャップが大きく目立ってしまった・・・まずい。


「自分の金なんだから何が悪い!」「快楽主義以外に何を信じられる?」

最初はそう言い聞かせてきた。
母親のようにいつ持病で倒れるかは分からない。
田舎における"まともな男性"のロールモデルとして、家庭人となるには私の身体は弱すぎる。
そして、弱すぎるために目の前の仕事にひたすら邁進することができない。
虚弱な自分が潰れたら、母の問題もあり両親は経済的に困窮する。
虚弱なのに、家族の命運を背負ってしまっている。

あまりにも将来が見えなさ過ぎる。
こんな人間がこれからの人生をどう歩むべきか、その目標をすぐに見つけられる訳が無い。見つけられなくて責められる筋合いも無い。
私にできることは、当事者意識を背負い込んでメンタルを潰されないよう、
とりあえず明日1日を迎えるために今の快楽主義に傾倒するしかない。そうだろう!
どうなんだ!!!おいぃぃこの健常者ぁ!お前ならどうするんだぁ!!1

 

 

以上が約半年も刹那的快楽を貪ってきた言い訳だが、あまりにもアホで悲しい。
快楽主義で身を滅ぼす懸念は夏の時点で自覚していた。その様子はこちらの記事を呼んでほしい。 

9月以降は仕事で多忙になったこと、さらに体調を慢性的に崩していたこともあって
毎週末大都市へ女遊びをしに行くことは無くなった(SNSでは毎週「行くしかねぇ」と言っていたが・・・)

金銭感覚もようやくまともになり、「今までの浪費はとんでもない」という認知をするに至った。
倹約という行動に移せるかは別問題だが、問題認識すらなかった今までよりは良い。
しかし、9月末までマッサージ屋へ行く回数を抑えて、貯金残高を今までより高めにキープしたことがまた欲望に火を点ける結果となってしまった。

 

休日出勤、体調が悪いのにちょっとした肉体労働をさせられる、月曜から飲み会、2週連続で金曜残業。

世の中のブラック企業勤めの人なら鼻で笑われるような小さなことであるのは百も承知である。しかし、それが9月中に度重なったことで、自分にはどうにも耐えられなくなった。
もう今週は行くしかない。絶対に行くしかない。快感しか私を癒せない。

 

 

2週連続の金曜残業を終え、帰りの列車に乗り込むとスマホですぐに出勤情報を確認した。前日に決めていたマッサージ女性のページを見る。

息を呑む美女」「マッサージ資格有りで文句なしの実力

この半年間でマッサージ経験を積みすぎたため、この手のフレーズを鵜呑みにする
ナイーブさはもう無くなっていた。
しかし、身体にまとわりつくような疲労のせいか、期待を抑えられない自分に気づいた。
既に日は落ちて暗闇しか見えない列車の窓に、老け顔の気持ち悪い笑みを浮かべた25歳が映る。学生であった半年前の面影はなくなっているのが悲しい。

 

今回は店舗も新規開拓、マッサージ女性も初指名というチャレンジングな日だ。
…といっても、危ない橋を渡る訳ではない。
今回のお店を知ったきっかけはお盆に新規開拓したグループ系列店だった。
お盆の頃にたまたまお気に入りの熟女を見つけ、春を謳歌した(お盆なのに)。
男性スタッフの対応に雑さを感じたものの、店舗の清潔さや割引サービス内容が
充実しており、同グループ店にも期待が持てると判断した。
系列店をチェックしてみると、若い年代層向けのマッサージ店があったため今回は足を運ぶことにした。
要は「若い子目当て」のどうしようもないおじさんである。もう自分が既にアラサーの入り口に立っているのが未だに信じられない。

 

 

「ッんばんは!!!○○○○○○名駅店です、ご予約ありがッッまーす」

対応の雑さはグループ共通なのか?時間より早めに到着し、狭い待合室に案内される。
煙くさい待合室では2人の男性が俯きながら煙草を吸っていた。
待合室に置いてあるテレビでは「天空の城ラピュタ」の冒頭を放映していた。

 どうしてお姉さんの前で裸で四つんばいになる大人になってしまったんだろう。

 

・・・しばらく待つと店員が現れ、店の奥へ案内してくれた。
「それではお楽しみください。どうぞぉ!!!」

現れたのは目鼻立ちがはっきりした上品な女性だった。
落ち着きはあるが決して地味ではなく、黙っていても華がある。
大学時代には全く縁の無かったタイプの女性である。
今回は疲労回復重視でマッサージ技術に定評のある女性を指名したが、やはり好みのタイプの容姿の人に担当してもらうことに越したことは無い。
とりあえず、極端に好みから外れた女性じゃなくて一安心した。
(改めて思うと、風俗体験記はルッキズムの撒き散らしですね。女性の「イケメン好き」はまだかわいいものだと思います。いきなり正気になってしまいましたが・・・)

話を聞くところによると、かつてはアパレル関係の仕事をしていたらしい。
どこか華があると感じていたのは、顔立ちだけでなく小綺麗な服のせいもあるのだろうか。まぁ、オタク臭いチェックシャツを着て大都市をうろつくことに抵抗が無い人間にはよく分からない・・・
おきまりの世間話(仕事、マッサージ歴、身長、エイリアン体型について)をした後、
うつ伏せでの施術が始まった。

 

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applefactorz.hateblo.jp